縮まらない距離に、その素っ気ない態度に、拗ねたように口を尖らせて少し歩調を早めながら、「こういう傷心のときくらい慰めてくれてもいいのに」と文句を言えば、追いついてきた私をちらりと確認してまた歩き出した赤葦くんは「慰められたいだけなら他にも居るでしょう」と飄々と答えた。彼は私にはいつだってそうだ。完全に突き放すことはせずに、視界に入る距離には居てくれるのに、その距離を保ったまま歩み寄ることはせず、こちらに手を差し伸べてくれることもない。
「赤葦くんって優しくないよね」
「褒め言葉ですね。俺はあなたの『優しいその他大勢』になりたい訳じゃない」
半ば八つ当たりのように尖った口調で放った台詞に返ってきた赤葦くんの言葉は思ってもみなかったもので、何を言えばいいか分からず思わず口を噤めば、赤葦くんは再度足を止めて私を見据えた。その真っすぐ瞳にこちらの気持ちはすべて見透かされてるような気分になるのに、目は合っている筈なのに、赤葦くんの気持ちはこちらには全然伝わって来なくて、落ち着かない。「……意味が分からない、って顔してますね」「……分からないよ、赤葦くんが、どうしたいのか」「……知りたいですか?」私の目を見たまま、赤葦くんが少しだけ口端を上げる。柔らかい空気を纏って、だけどとびきり意地悪く。
「知りたければそれ相応の覚悟をして来てください。俺を選ぶなら、逃がしてやるつもりは毛頭無いんで。」
COLOR PALETTE #05
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| Keiji Akaashi