「自分、雷は平気なんやな」
「そだね、べつに怖くはないかな。ごめんね可愛げが無くて」
「べつになんも言うてへんけど」
くすくすと可笑しそうに静かに笑った侑士はそれきり黙ってしまった。侑士との沈黙は嫌じゃない、けど、沈黙の性質がいつもとはどこか違うような。私はいつまでも止まない雨を気にしつつも、なんだかいつもと纏う雰囲気の異なる侑士の様子が気になって仕方なかった。「 え、もしかして侑士は雷怖いの?」と頭に浮かんだ可能性を口に出して問えば、不思議そうに目をぱちくりさせる侑士に「どないしたらそういう思考に行き着くねん」と逆に尋ねられた。そうですよね、さすがにそれは無いですよね。そう思いながらも「さっきからずっと黙ってるから」と正直に白状すれば、侑士は一瞬だけ驚いたように目を見開いたあと、微かに眉を寄せて微妙な表情をした。
「 せやなぁ、怖くはないんやけど、…」
「けど?」
「 ……どっちかっちゅうと、興奮しとる、かな」
ちらり、とこちらを見据えた侑士の瞳がどことなくいつもより熱を孕んでるように見えて、どきり、と反射的に身構えてしまう。そんな私を見た侑士は、ふ、と息を吐きながら「……なんてな」って困ったように笑った。ちゅうか、警戒しすぎやろ自分。そう言いながらくすくすと楽しそうに喉を鳴らす侑士はいつの間にか普段の柔らかい空気を纏っていたので、そっと胸を撫で下ろしたというのに、「まぁ、正解かもしれへんな。そのまま警戒しとってくれ」なんて侑士がなんでもないことのように付け加えるものだから、また私の心臓は落ち着かなくなってしまった。
COLOR PALETTE #06
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| Yushi Oshitari