「……叱られたいだけのやつにいちいち応えてやれるほど、私は優しくないぞ」
そんな自分の考えが読まれてるかのように、忍田さんが、少しだけ静かな口調でそう告げて、私はびくりと肩を震わせる。忍田さんに叱られたい、正直そう期待してしまっているのも事実だ。だけどそれ以上に、呆れられたくない、嫌われたくない、見切りをつけられたくない、というのが本心。そんな思いがぐるぐると頭をめぐり、でもなにを言っていいか分からず、思わず縋るように忍田さんの目を見ると、彼は、ふは、と突然吹き出して顔を背けてしまった。
「……え、忍田さん…?」
「 っふ、悪い、君がすごい顔をしていたものだから、つい。 はは、」
肩を震わせて笑う忍田さんを見て、彼の台詞がどこまで本気かは分からないにしろ、彼にからかわれたのであろうことに今更ながら気付く。「忍田さんは、意地悪ですね」拗ねたようにそう言うと、忍田さんは優しく目を細め、だけど少しだけ意地悪そうに唇に弧を描いて、その大きな掌で私の頭をゆるりと撫ぜた。「……いつまでも君の『お目付役』でいたいわけではないからな」髪に触れられた状態のままそう告げられ、どういう意味か聞き返そうと目線を上げたところでぱっとその手は離れて行ってしまった。私だって、叱られたいだけじゃない、そうじゃなくて、もっと。今はまだ言えないけど、いつかそう正直に伝えてもいいですか、忍田さん。
COLOR PALETTE #02
●
●
●
○
●
| Masafumi Shinoda

