strawberry jam × Koheita Nanamatsu
※現パロ

彼は女が男の前で着飾ることに意味は無いと言う。それもちっとも悪びれない、鋭く光る純粋な瞳で。その言葉の意味するところが、大事なのは見た目ではなく中身なのだ、など殊勝なことではないことなんて分かりきっている。どうせどれだけ着飾ったところで脱いでしまえば同じなのだと言うんだろう、この男は。近付いてきた熱を帯びた暗い瞳を見つめながら、同じく近付いてきた唇にそっと人差し指を添えて制止する。制止された七松は、一瞬きょとんと目を丸くさせたあと、私の手首をぐいと掴んで壁に縫い付け、私の制止など最初から無かったかのように口づけを続行した。口内を侵されながらも抵抗を試みれば、七松はそんな私が気に入らないのか微かに眉間に皺を寄せた。

男の前で着飾っていたいのが女だ。少しでも綺麗で可愛くいたいと願ってしまうのが女だ。だけどそれを貴方は無意味だと言って見つめようともしてくれない。すぐさま脱がされていくハイヒールや床に散らばったアクセサリー、ぐしゃぐしゃに掻き乱された髪を横目に私は心の中で小さく溜息をつく。もっと情緒があったっていい、思いやりがあったっていい、そう思うのに、無遠慮に弄るその指が、粗雑で意地悪なその舌が、どんどん私を「女」にしていくことも、私は知っている。そしてそれを悔しいと思ってしまう自分のプライドの高さも、それなのにどうしようもなくぞくぞくさせられてしまうこの恋心も。


「相変わらず面倒な女だな、は」
「……七松に言われたくない」
「  そんなおまえが乱れていくさまが私はすきだ」


ここでそんな言い方するの、ずるい。何も言えなくなってしまった私を見て、七松が楽しそうににんまりと唇に弧を描く。そして外したばかりの床に落ちていた大きめのネックレスを拾い上げ、再び私の首に丁寧につけ始めた。 「 な、 なまつ?」首に触れる彼の体温を感じながら、行為はもう終わったのかと戸惑う私を傍に、彼はいつものようにすぐにボタンを外すのではなく、裾から捲し上げるようにして服の下に掌を侵入させてきた。漏れ出る声を聞きながら七松は再び楽しそうに口端を上げ、私の耳元に唇を寄せた。「せっかく着飾ってくれたんだ。今日はこのまましてみよう」悪戯っ子みたいにとびきり無邪気な瞳で、低く甘えた声で、彼が笑う。いつもみたいにぜんぶはぎ取ってしまうのではなく、着飾ったまま。 それがいちばん私のプライドを傷つけるのだと、この男は分かってやっているのだろうか。それでも私はぞくりと身体の内側から溢れ出す欲望を止めることができないのだ。だから、ねぇ。あなたのその瞳で、声で、掌で、私をもっともっと極上の女にしてみせて。