「日吉って髪が綺麗だよね」
思わず手を伸ばしたらその頭に案外容易く触れることができた。どうしようかと思案しながらちらりと様子を窺うと、触られた側である日吉の方といえばとくに嫌がる素振りを見せずじっとおとなしくしていたので、そのまま触っていることにした。日吉の髪は柔らかくてさらさらで触っていてとても気持ちがいい。撫でるようにしながらその色素の薄い髪を指で掬っていれば、なんだかくすぐったいような変な気持ちになってきて、衝動的に日吉の頭に顔を近付けて、掬いあげた髪に掠めるように口付けた。 気配や感触で気付いたのだろうか、日吉はぴたりと固まってしまったようだった。
「……そういうのは男がやるものでしょう」
ぼそぼそと拗ねているかのような口調。髪の隙間から覗く耳がほのかに赤く色づいているとこを見ると、どうも照れているらしい。
「ごめん。日吉があんまり可愛かったから、つい」
一呼吸置いて、 それも男の台詞です、と、少し拗ねるような、それでいて呆れ混じりの声。だけどどこか柔らかい響きに聞こえるのは気のせいではないだろう。やっぱり可愛い、なんて言ったら怒るだろうか、そう思いながら言葉を選んでいたら肩を抱き寄せられ、仕返しとばかりにあっという間に唇を奪われた。